
発行の背景
- フランスの20フラン金貨は、19世紀から20世紀初頭にかけてヨーロッパの基軸通貨として広く流通した「ナポレオン金貨」シリーズの後継にあたる。
- その中でも1907年から1914年にかけて発行されたものが、通称「マリアンヌ・ルースター金貨(Marianne Coq)」と呼ばれる。
- 1914年の第一次世界大戦勃発で金貨流通が停止したため、このシリーズは短期間で発行終了となり、歴史的にも重要な位置を占める。
基本スペック
- 額面:20フラン
- 発行年:1907年~1914年(フランス第三共和国期)
- 量目:6.45グラム
- 直径:21ミリ
- 品位:金900(純金90%、残りは銅など)
- 含有純金量:5.81グラム


デザイン
- 表面:フランス共和国の象徴「マリアンヌ像」。自由と理性を体現する女性像で、フリジア帽をかぶり、気高く力強い表情をしている。
- 裏面:フランスの国鳥である雄鶏(ルースター)。共和国の象徴「LIBERTÉ ÉGALITÉ FRATERNITÉ(自由・平等・博愛)」の標語とともに刻まれている。
歴史的な位置づけ
- 「マリアンヌ・ルースター金貨」は、フランス共和国の理想と独立精神を表現した最後の流通金貨とされる。
- 同時期、フランスはヨーロッパ随一の文化・経済大国であり、このコインは国際通貨としても高い信頼を得ていた。
- しかし1914年、第一次世界大戦の勃発により金貨の流通は停止。以後、実用よりも投資・収蔵用の資産としての役割に移っていった。
現在の評価・価値
- 投資価値:純金5.81gを含むため、常に金相場に裏付けられた価値がある。
- 収集価値:マリアンヌ像と雄鶏という象徴的なデザインから、世界中のコレクターに人気。
- 市場流通性:ヨーロッパや日本でも比較的入手しやすく、資産保有用の金貨として根強い需要がある。
- 特に未使用品や保存状態の良い個体は、地金価格以上のプレミアムがつくことも多い。
まとめ
フランスの「マリアンヌ・ルースター金貨(1907~1914年)」は、
- 美しいデザインと象徴性
- 金相場に裏付けられた堅実な資産価値
- 第一次世界大戦前の最後の流通金貨という歴史的背景
を兼ね備えた名品です。
投資家・収集家の双方から高く評価される、フランス金貨を代表する存在といえます。
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